回線工事を行う事無く、手軽に自宅でWi-Fi環境を構築する手段として、据え置き型無線ホームルーターが人気です。
建物の構造上の問題で光回線の工事が行えないマンションや、急にテレワークの必要性が生じた場合に、最も光回線に近い環境を導入出来るのがホームルーターです。
昨今のニーズの高まりに、今まで本腰を入れていなかったdocomoも本格的な参入を決めています。ただ、2021年8月下旬以降の提供開始なので、現状(2021年7月時点)は、「ソフトバンクエアー」か「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11の2択です。
「WiMAX」は機種名からも解るように、5Gに対応する新型を投入しています。「ソフトバンクエアー」は、最新のBCNランキングで、据え置き型Wi-Fi回線機器の販売シェアで占有率72.1%を誇る、販売シェアNo.1です。
鎬を削る2つの据え置き型無線ホームルーターで、どちらを選ぶべきか?を解説します。
据え置き型無線ホームルーターとは?
「ソフトバンクエアー」・「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11の様な、据え置き型無線ホームルーターは、商品が到着したらコンセントに挿すだけで、インターネット回線が開通します。
工事不要で自宅に快適なWi-Fi環境が使える様になり、費用も光回線を導入するよりもお得です。
据え置き型無線ホームルーターのメリットは?
インターネットを使うのに、現在最も適している回線は光回線です。しかし、光回線を導入するためには工事が必要になります。タイミングや時期にもよりますが、導入を決めてから実際に回線が使用出来るようになるまで、最低でも2週間程度の時間が掛かり、場合によっては2ヵ月以上必要になったケースも有ります。
工事日を擦り合わせる中で、立ち会いのため仕事を休む必要も出てきます。家の外まで回線を引き込む工事と、家の中の工事が別日になり2日間の立ち会いになる事もあります。
光回線は、住居の近くまで光ファイバーケーブルが来ていないと、使用する事は出来ません。光回線を開通させるのに、賃貸物件では外壁に穴を開ける改造等を、大家さんが認めていない場合には、光回線を引く事は出来ません。
マンションでは、光回線が導入されていなければ、管理会社を説得して許可を得る必要があります。共用部分に機器を設置して分配するため、工事は小規模では収まりません。管理組合だけでなく住民の合意も必要になります。多くの手間と時間が掛かります。
据え置き型無線ホームルーターは、工事不要で到着後コンセントに挿すだけで直ぐに、インターネット回線が使える様になります。光ファイバーケーブル回線が来ていないエリアでも、無線の電波が拾える場所ならすぐに開通出来ます。
引っ越す時も廃止工事の手間や費用も不要で、オンラインか電話で住所変更の手続きをすれば、引っ越し先で当日から回線使用が可能です。引っ越し先での新たな工事費は、当然発生しません。
据え置き型無線ホームルーターのデメリットは?
光回線に比べてメリットが多い据え置き型無線ホームルーターですが、デメリットも有ります。光回線と比較すれば、インターネット通信の安定性や速度において、現実の数字において届きません。
無線を受信して行うため、地下に部屋がある場合や高層マンションで使う場合には、電波が届きにくく、不安定になるケースもあります。また、建物の構造や使っている部材によって、電波が届きにくくなる事もあります。
光回線では使用量に関わらず速度制限は有りませんが、据え置き型無線ホームルーターの場合は、使うデータ量によって制限が掛かる機種があります。
無線でインターネットを使う方法として、スマートフォンのテザリング機能やモバイルWi-Fiルーターが有りますが、それらと比較して据え置き型無線ホームルーターは、持ち運び出来る自由さは有りません。
ポケットWi-Fi・スマホのテザリングでは駄目なのか?
ポケットWi-Fi vs 据え置き型無線ホームルーター
ポケットWi-Fiはコンパクトに設計されていて、持ち運び可能というメリットがあります。
光回線の様に、回線工事も必要ありません。
据え置き型無線ホームルーターが自宅にしか置けないのに対して、自由に出掛けた先でWi-Fi環境を構築出来る良さがあり、工事不要のネット回線として有力な選択肢になります。
しかし、持ち運ぶ事を考えてサイズに制約のあるポケットWi-Fiに比べて、サイズにゆとりのある据え置き型無線ホームルーターは、スペック優先の設計が可能になっています。
通信速度や安定性、同時接続時の機器台数や安定感が大きく異なり、据え置き型の方が優れています。モバイルルーターは、Wi-Fiの届く範囲は直線距離で10mから15m程度です。ワンルームで使う分には殆ど支障はありませんが、自宅の複数の部屋で使う事は現実的に難しいと言えます。
据え置き型無線ホームルーターは直線で50m以上Wi-Fiが届き、複数の部屋をカバーする事が出来る事も大きな違いです。
スマートフォンテザリング vs 据え置き型無線ホームルーター
スマートフォンは、それ自体の通信だけで無く、テザリング機能を使用すれば、パソコンなど他の機器をネット接続する事が出来ます。
しかし、契約する携帯会社やプランによって、テザリングを行う場合に別料金がかかるケースもあり、無制限プランでもテザリングには使用データ容量制限の存在する事が大半で、注意が必要です。
ポケットWi-Fiと比較しても、通信速度や安定性は劣るケースが大半です。他の機器との接続方法は、Wi-Fiテザリング・Bluetoothテザリング・USBテザリングがありますが、電池の消耗が激しい・接続可能距離が狭い・接続台数が1台に限定される等のデメリットがあります。
スマートフォンでのテザリングは、あくまで緊急避難的な使用に限定されます。
据え置き型無線ホームルーターの月額料金は?
ホームルーターの月額料金比較は、以下の通りです。
月の固定費のみで比較します。
ソフトバンクエアー | WiMAX +5G | |
基本月額 1年目 | 4,180円 | 4,268円 |
基本月額 2年目 | 4,180円 | 4,268円 |
基本月額 3年目 | 5,368円 | 4,818円 |
3年間合計金額 | 164,736円 | 160,248円 |
3年間の月額固定費で比較すると、「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11の方が安価です。
しかし、25歳以下の契約者の場合は、事情が変わってきます。「ソフトバンクエアー」は、U-25限定SoftBank Air割引きを行っているためです。これは、2021年4月1日から展開しているキャンペーンで、終了時期は未定です。
このキャンペーン価格で比較すると、以下の様になります。
ソフトバンクエアー | WiMAX +5G | 25歳以下ソフトバンクエアー | |
基本月額 1年目 | 4,180円 | 4,268円 | 3,168円 |
基本月額 2年目 | 5,368円 | 4,268円 | 3,168円 |
基本月額 3年目 | 5,368円 | 4,818円 | 5,368円 |
3年間合計金額 | 178,992円 | 160,248円 | 140,448円 |
25歳以下の方なら、「ソフトバンクエアー」の方が安くなります。
キャンペーンを見てみましょう。
「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11」の公式キャンペーンは、現在5,000円のキャッシュバックを実施しています。
「ソフトバンクエアー」の場合、正規代理店では独自のキャッシュバックも行っていて、オプション加入無しでも33,000円のキャッシュバックが受けられます。
指定オプションに加入すれば、最大キャッシュバック額は35,000円になります。
キャンペーン詳細については、以下をご覧ください。
キャッシュバック金額まで考慮すれば、トータルの費用で「ソフトバンクエアー」が大幅に安い金額になります。
据え置き型無線ホームルーターの基本性能は?
据え置き型無線ホームルーターの、それぞれの性能を見ていきましょう。
「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11
(出典:UQWiMAX公式)
回線のスピードの公称数値が圧巻です。下り最大速度2.7Gbpsは、現在一般的な光回線の速度1Gbpsを凌駕しています。しかし、このスピードは5G回線に接続する事で出せる、理論的な速度です。
5Gのサービスエリアは未だ限定的であり、多くのエリアでは利用出来ません。WiMAXの使用する周波数帯域は携帯電話の使用する電波と比較して高く、障害物を通り抜けて受信する場合は、安定しない事が多く有ります。
その弱点を克服すべく、auの携帯電話回線の5G・4GLTEの電波を拾う事も出来ますが、月額1,100円のオプション料金(プラスエリアモード)が掛かります。
固定された場所で使う前提なのがホームルーターなので、電波状態が芳しくない場所での利用は、オプション料金を加えた月額料金で検討する必要があります。(ただし使えるデータ量が15GBという制限があります)
「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11は、最新の高速無線LAN規格に対応しています。IEEE802.11axは、5GHz帯では最大1,201Mbpsの速度が可能で、2.4 GHz帯では最大574Mbpsの速度が可能になっています。しかし、IEEE802.11axの規格に対応している機器はまだ少ないのが現状です。
「ソフトバンクエアー」
(出典:SoftBank Air公式)
回線の最大速度は公称962Mbpsですが、すべてのエリアではありません。
「ソフトバンクエアー」は、メインの回線にAXGP方式を用いています。カバーしきれないところは、4G LTE方式を利用しますが、別途オプション料金は掛かりません。
最新の高速無線LAN規格IEEE802.11axにも対応しています。しかし、現状は同じAirターミナル4でも、対応しているものと、対応していないものが混在しています。
個装箱の商品コードが「BBWAAG」(もしくは機種名ラベルの色が「水色」)の場合は対応していませんが、個装箱の商品コードが「BBWAAM」(もしくは機種名ラベルの色が「銀色」)の場合は対応しています。
据え置き型無線ホームルーターの容量制限は?
「ソフトバンクエアー」は、データ使用量に制限を設けていません。しかし、利用の集中する時間帯には速度制限が掛かる事があり、通信速度が低下する事があります。
「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11は、3日間で15GBを利用した場合に、速度制限が掛かります。また、プラスエリアモードでは、月に15GBの制限が有ります。超過時には大幅な速度制限が掛かります。
どちらもデータサイズだけではピンと来ないと思いますので、実際に使う場合にどれくらいの量が掛かるのか?消費量の多い動画を中心に調べてみます。
YouTube
フルHDは1080pで動画1分あたりの通信量は34.2MBになります。
15GBで可能な視聴時間は、7時間20分程度になります。休みの日にまとめて見た場合に、超過する可能性がありますね。
プラスエリアモードでは、月に視聴出来る時間になりますので、ネット回線を他の用途にも当然使う事を考慮すれば、現実的には少々無理があります。
Netflix
4K時の動画1分あたりの通信量は、116.7MBです。
15GBで可能な視聴時間は、2時間10分程度になります。これは少々心許ない時間ですよね。
動画の質を落としてみれば視聴出来る時間は増加しますが、せっかく高画質配信をしているのに勿体ないです。
Amazonプライムビデオ
最高画質ではNetflixの4Kに近く、1分あたりの通信量は96.7MBになります。
15GBで可能な視聴時間は、2時間40分程度になります。
インターネットの利用は、動画だけには限りません。たとえば、OSの大型アップデートやオンラインゲームの更新などは、大きなデータ容量を一気に消費します。動画を見てデータ消費した後にこれらが重なれば、大きなストレスになります。
据え置き型無線ホームルーターの実際の回線速度
サービスを提供する企業が発表する通信速度は、理論上の速度であって実際にその速度が保証されてはいません。
実際にどの程度の速度が出ているか?が大切です。その前に、通信速度について簡単に説明します。
通信速度の単位
通信速度の単位は「bps」という単位で、数値が大きくなるほど高速になります。
bpsはBit per secondの略語で、1秒間にどれだけのデータ量を転送出来るかという意味です。1,000bpsは1kbpsであり、1,000kbpsが1Mbpsになり、1,000Mbpsは1Gbpsになります。
上りと下り
通信速度には上りと下りがあります。快適さに大きく関わるのは、主に使用頻度の高い下り速度です。
動画鑑賞したりネット閲覧したりするのに関わるのが、下りスピードだからです。
写真や動画をアップする時に関わるのが、上りのスピードです。
理論上の最大速度が出なければ、快適なインターネットが楽しめないかと言えば、決してそんな事はありません。
たとえば解りやすい例として、スマートフォンがサクサクストレス無く動く為に必要な速度は
□メール・LINEで128kbps~1Mbps
□ウェブを閲覧する為にはテキスト中心のサイトで1Mbps。大きな写真が混在しているサイトで10Mbps程度
□動画は解像度にもよりますが、5Mbpsから20Mbps
が目安です。
もちろん、これ以下のスピードでは使用不可ということではなく、快適に使える速度です。
「ソフトバンクエアー」と「WiMAX」の実際に使っているユーザーが計測したレポートを見ていきましょう。みんなのネット回線速度には、多数のユーザーが実際に計った数値データがあります。
2021年7月現在、「ソフトバンクエアー」には93,305件のデータが有り、直近3ヵ月で計測された9,636件の平均値、「WiMAX」には73,537件のデータが有り、直近3ヵ月で計測された5,091件の平均値があります。
「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11は発売から間もなく、5Gサービスも限定的でまとまったデータが有りません。プラスエリアモードを使用しなければ、WiMAX 2+のデータと大差ないと考え、5Gについては今回考慮していません。
〇「ソフトバンクエアー」直近3ヵ月で計測された9,636件の通信速度平均値
平均ダウンロード速度: 44.0Mbps
平均アップロード速度: 6.12Mbps
〇「WiMAX」直近3ヵ月で計測された5,091件の通信速度平均値
平均ダウンロード速度: 37.02Mbps
平均アップロード速度: 5.63Mbps
という結果になっています。
どちらの数値も、通常利用する中では問題が無い事が解ります。
通信費全体でも考えてみましょう!
据え置き型無線ホームルーターを導入したら、契約していた携帯電話のプランは見直す方が合理的です。
大きなデータ量を消費する動画鑑賞等をWi-Fi環境で行えば、携帯電話会社の回線を利用してデータ消費をする事が無くなるため、それまでと同様のプランを継続するのは無駄が多くなります。
多くのスマートフォンユーザーが、外出時に使っているデータ容量は3GB以下の方が大半です。LINEやメールのやり取り、SNSの閲覧やgoogle検索を行うくらいなら、月に必要な容量は3GB程度で充分です。
無制限プランや、それに近い大容量プランに入っている方が、3GB程度のプランに変更すれば通信費全体の節約が可能になります。
「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11ユーザーは、auの割引きが受けられます。残念ながらauは3GBの括りがありませんが、ピタットプランなら4GBまでで月額4,928円になります。家族3人以上で利用すれば1,100円の割引きが受けられ、WiMAXユーザーは更に550円の割引きが受けられます。
「ソフトバンクエアー」は、SoftBankユーザーに割引きがあります。しかし、通信費全体のトータルコストを考えれば、この際Y!mobileへの変更をお勧めします。Y!mobileは格安SIMとは異なり、SoftBank回線そのもを使うサブブランドです。回線品質はSoftBankと同一で、他の格安スマホとは異なりショップ店舗で取り扱っています。
SoftBankとの大きな違いは価格です。ミニフィットプランの場合、3GBまでの月額料金は5,478円ですが(家族割はありません)、Y!mobileでは3GBのシンプルSプランの場合、月額料金は2,178円です。
しかも、「ソフトバンクエアー」利用者は、1回線あたり1,188円の割引きが受けられて、月額料金は990円になります。
家族4人で「据え置き型無線ホームルーター」+「携帯電話」を利用した場合の通信費全体のトータルコストをシミュレーションしてみます。
ソフトバンクエアー | ホームルーター月額 | 携帯料金月額 | 月トータル |
基本月額 1年目 | 4,180円 | 3,960円 | 8,140円 |
基本月額 2年目 | 4,180円 | 3,960円 | 8,140円 |
基本月額 3年目 | 5,368円 | 3,960円 | 9,328円 |
3年総額 | 307,296円 | ||
WiMAX +5G | ホームルーター月額 | 携帯料金月額 | 月トータル |
基本月額 1年目 | 4,268円 | 13,112円 | 17,380円 |
基本月額 2年目 | 4,268円 | 13,112円 | 17,380円 |
基本月額 3年目 | 4,818円 | 13,112円 | 17,930円 |
3年総額 | 632,280円 |
まとめ
「WiMAX」Speed Wi-Fi HOME 5G L11と「ソフトバンクエアー」を比較すれば、設計が新しく5Gにも対応した「WiMAX」と、通信制限の無い「ソフトバンクエアー」にはそれぞれの良さがあります。
月額料金だけで単純に比較すれば、「WiMAX」の方が安価ですが、Y!mobileと組み合わせて使う事で、「ソフトバンクエアー」の方が通信費全体のトータルコストは大幅に節約出来ます。
さらに、キャッシュバック特典でトータル費用は、より大幅に安くなります!
キャッシュバック特典の詳細は、以下で御確認下さい。